お菓子屋豆畑 | お菓子を通して地域貢献を。すべての人が平等に楽しめる社会へ

兵庫県丹波篠山で洋菓子店を営む「お菓子屋 豆畑(まめばたけ)」。

創業15周年を迎えた今、地域の枠組みを超えて全国展開へと力を入れています。

そんな豆畑さんが日頃から大切していることは、お菓子を通した社会貢献です。

今回は、お菓子屋豆畑のオーナー・井上さんをゲストにお迎えし、地域への想いや新しい挑戦についてお話をお伺いしました。

自然豊かな環境の中に佇む「お菓子屋 豆畑」

-本日はよろしくお願いします!最初に、豆畑さんのお店について教えてください。

井上さん:

兵庫県丹波篠山にお店を構える「お菓子屋 豆畑(まめばたけ)」と申します。田舎町といったらいいでしょうか。豆畑は、田園地帯が広がる自然豊かな場所でお菓子屋を営んでいます。

お菓子の種類は、デコレーションケーキやロールケーキ、焼き菓子、冷凍チーズケーキなどの洋菓子がメインです。

原材料へのこだわり。地元周辺の特色を活かしたお菓子づくり

-たくさんの種類のお菓子がありますね!その中でもイチオシメニューを教えてください!

井上さん:

看板商品のひとつとなっているのが、「川北ロール」というロールケーキです。ネーミングは、お店が立地する「川北」という地名から考えました。

井上さん:

川北ロールの一番の特徴は、丹波篠山の中でも有名ブランドである川北産の黒大豆を使っているところです。原材料にはこだわりを持っていて、卵と牛乳は丹波産のものを、小麦粉は北海道産のものを使っています。

川北ロールに限らず、豆畑で作るお菓子はなるべく丹波篠山近辺の特色を活かした原材料で作っています。

原材料は、地域の農家さんや業者さんのところに足を運んで調達しています。仲良くしていただいている農家さんや業者さんからは「この材料お菓子に合うんじゃない?」とアドバイスいただくことも多いんですよ!

粉に関しては、たまに米粉を使ったお菓子も作っています。

今はストップしていますが、米粉の調達も地元の農家さんから屑米(くずまい)というお米を分けて頂いて、それを粉砕して粉にして小麦不使用のお菓子をつくることもありましたね。

地元農家の方々とのコミュニケーションで生まれたアイディア

-地元の農家さんとのコミュニケーションを大切にされているんですね。印象的な出来事はありますか?

井上さん:

以前農家さんから伺ったのですが、屑米を使ってもらうことで農家さん側にメリットがあるみたいなんです。

これは、お米の栽培上のお話になるのですが、精米する際に必ず屑米が出るんです。

屑米とは、販売できる大きさになっていないサイズの小さなお米のことです。

屑米といっても、一般的なお米と比べると少し粒が小さいだけで、味や品質にさほど変わりはありません。

どのお米も、農家さんが心を込めて作ってくださった大切な食材なのです。

屑米は通常、お店に並ぶことはありません。となると、廃棄の対象になってしまいますよね。でも、その屑米を米粉としてお菓子づくりに再利用することでムダがなくなるんです。

-食卓に並ぶことのなかったお米が、姿を変えて生まれ変わっているんですね。農家さんも嬉しいですね。

井上さん:

そうですね。代わりに私の方からも、お菓子作りで使用した卵の殻を農家さんにご提供させて頂いています。農家さんの方でコンポストに活用してもらっているんです。こちらも、捨てられる運命だった卵の殻を再利用して頂けるなんて、とてもありがたいんです。

-まさにサステナブル!SDGsですね!

井上さん:

はは。確かにそうですね。実際に、SDGs事業者として登録もいただいています。

でも、私としては特にSDGsを意識して取り組みを始めたわけではないんですよ。
屑米や卵の殻の再利用に関しても、農家さんとのコミュニケーションの中で生まれた取り組みです。

それが、結果的にSDGsに沿っていただけなんです。

-素晴らしいですね。豆畑さんのお取り組みは、どれも人と人とのつながりを大事にされていて、その結果が周りからの評価として現れているんですね。

お菓子を通して誰もが平等に楽しめる世界を作りたい。地域貢献への取り組み

-豆畑さんのお取り組みは、お菓子の販売だけでなく地域貢献事業もされているとお伺いしました。詳しく教えていただけますか?

井上さん:

月に一度、篠山市内各所のこども園や幼稚園、小学校にお菓子を提供させていただいています。毎月ご注文をいただくのですが、ほぼボランディア価格で行っています。

ご提供しているお菓子は、小麦不使用・乳製品不使用など、体にやさしい原材料を使ったお菓子です。

こうしたメニューは店舗販売はしていないのですが、主に地域の学校や幼稚園やこども園の方からご注文をいただいたときに、対応させていただいています。

-〇〇不使用のお菓子を作られるようになったのは、どのようなきっかけがあったんですか。

井上さん:

お客様の声がきっかけでした。学校の先生方のお話の中で、子供達の中には小麦粉や乳製品が体に合わないお子様や、特定のフルーツが苦手なお子様がいらっしゃるとお伺いしました。

以前、こども園さんの方から「体に合わない食材がある子だけ、ケーキをゼリーにするなどしてメニューを変えてもらえませんか」とご要望を頂戴しました。でも、私は何かひっかかるものがあって…。

一人だけ違うメニューだなんて、かわいそうだなと思ったんですよね。その子だって、みんなと一緒に同じようにお菓子を食べたいはずなんですよ。

だから、原材料や味が少し違っても、形だけでも同じお菓子を食べてほしくて工夫を加えてご提供させていただいています。

-お客様のお声から生まれた特別メニューなんですね。

井上さん:

ただどうしても、卵・小麦・乳製品・フルーツ、すべてを抜いて作ることは私だけの知恵ではまだまだ勉強が必要だと感じています。

どうしたらみなさんが同じようにお菓子を食べて喜んでいただけるか、今はそこが課題ですね。これからも、地域の方や学校の先生方のお声を参考にしながら、誰もが平等にお菓子を楽しめる世界を作っていきたいです。

他にも、小学校の方へはお菓子作りの講師としてお邪魔させていただいています。
地元の子どもたちはうちのケーキを食べて育ってるみたいな、そんな感じかなと思ってるんですよ。

地域の方には本当にお世話になっているので、可能な限り地域へ恩返しをしたいんです。

「お菓子屋豆畑」誕生まで。お菓子作りのきっかけ

-お菓子作りを事業にされたきっかけを教えてください。もともとお菓子作りにご興味があったんですか?

井上さん:

高校の時に、家でたまたまその住んでた近所の本屋さんで立ち読みしていたら雑誌があって、たまたまそこにお菓子のレシピが載っていたんですよ。

試しに作ってみようかなって思って、家でケーキを焼きはじめたんですよね。作ったケーキは周りに食べてもらって、完全に趣味で作ってましたね。

高校卒業後は、お菓子屋さんに就職するっていうのは全然考えてなかったんですが、ご縁あって決まったのがお菓子の製造会社でした。

そこから、本格的に仕事としてお菓子づくりを始めました。

お菓子作りへの葛藤

-実際に、お菓子作りの道をスタートされてからいかがでした?

井上さん:

会社では様々な部署での業務を経て、実際にお菓子を作る製造部門に配属されました。
でも、そこで葛藤が生まれたんです。

配属されたところはとても大きな工場で、お菓子を作るといってもライン作業なので基本的には機械が相手です。生地を作るなら1日中生地を練る作業だけで、お菓子を作っているという感覚が得られなかったんですよね。

私がやりたかったことは、たとえお店の規模が小さくても一からお菓子を作ることだったんです。
それに気がついてたから退職を決断し、一からお菓子づくりができるところに転職しました。

そこから6年ほど修行を積み、様々なシェフのもとでハード系のパンづくりも覚え、技術を高めていきました。

そんな中で、とあるオーブンメーカーの方から「うちのシェフにならないか?」という声がかかり、そのまま転職しました。

この選択が、お菓子屋としての独立のきっかけになっていったんです。

独立へのきっかけと決意

-オーブンメーカーでシェフですか!どのようなことをされたんですか?

井上さん:

シェフ?といっていいのか分かりませんが、オーブンを使ったデモンストレーターの仕事です。実際にオーブンを紹介しながらカステラやシュークリームを焼いてみるという感じですね。

-そこからどのような経緯で独立を決意されていったのですか?

井上さん:

焼き菓子店のオーナーさん方との出会いがきっかけです。
仕事の中で、焼き菓子を販売するお店にオーブンを納品するんですけど、そこで様々なオーナーさんに関わるようになったんですね。

そこでオーナーさんの話を聞くうちに、店舗経営のいろんな課題が見えてきたんです。
お話を伺うたびに、「自分だったらもっとこうするのにな」とかいろいろ思うようになってしまって(笑)

ならば、自分で独立してお店をやろうって決意し、そこから1年間さらに修行を積み、2007年1月に「お菓子屋 豆畑」をオープンしました。

お菓子屋豆畑オープン15周年を迎えて

-「豆畑」という店舗名は、どのように決まったんですか?

井上さん:

知人から札幌にいらっしゃる占い師さんを紹介されて、実際に北海道まで行って決めたんですよ(笑)。そこで画数とか総合的に判断して最終的に決まったのが「豆畑」だったんです。

-開業当初と現在ではどのような変化がありましたか?

井上さん:

最初は、ロールケーキとシュークリームを販売し始めて、メニューも少なかったです。

そこからスタッフが徐々に増えて、メニューが増えていきました。

一人で運営しているときは、メニューが本当に少なくて。お客さんがお店に入ってからの最初の反応が「え!これだけしかないの?!」だったくらいです(笑)。

でも、ありがたいことに開業当初からケーキの売れ行きがよくて、店頭にケーキが並ぶ前にお客様が買いに来てくださったんです。嬉しいです、本当に。

今も、在籍しているスタッフとアイディアを出し合って新規メニューを増やしていっています。特に、生ケーキ類に関してはほとんどスタッフが担当してくれているので本当に心強いんですよ。

今後の展望について

-最後に、今後の展望についてお聞かせいただけますか。

井上さん:

店舗販売に加えて、今後はオンラインショップでの販売に力を入れていきます。

通販支援サービス「ツクツク!!」を通して全国展開へ

井上さん:

現在は、ツクツク!!という通販支援サービスを通して、冷凍ケーキや焼き菓子、ロールケーキなどを販売しています。

先日も、ツクツク!!を通して関東のお客さまから大口の焼き菓子のご注文をいただきました。「遠方のお客様にお菓子を食べてもらえるんだね!」と、スタッフとワクワクしながら発送させていただきました。

店舗販売に加えてオンラインショップも同時進行となると、もちろん時間や労力の面で大変だと感じるときもあります。でもそれ以上に、全国のお客様にお菓子を召し上がっていただけることが、何ものにも代え難い喜びなんです。

-私も以前、豆畑さんの冷凍チーズケーキを頂いたうちの一人です。あまりの美味しさに感動したことを鮮明に覚えています。遠方の方がオンラインショップを通してお菓子を購入するには、どのように注文したらいいでしょう?

井上さん:

ツクツク!!の通販支援サービスからご注文いただけると嬉しいです。
サイトを直接検索して頂いてもいいですし、豆畑公式Instagramのプロフィール欄に設置しているホームページリンクからもアクセスいただけます。

お菓子屋豆畑 公式ホームページ

マルシェ立ち上げを通して地域活性化を目指す

-この他にも、今後の展望として目標にされていることはありますか?

井上さん:

豆畑のお菓子を通して、丹波篠山の地域活性化を目標にしています。
具体的には、これまでと同様にイベントやマルシェへの出店に加えて、今後は自らが主催側となる「地域活性マルシェ」を開催します。

今までは、主催者の方から「こういうマルシェがあるんで出店してくれませんか」とお声がかかって参加していました。けれども、今後は自分が主催者になっていろんな方々と協力してマルシェを立ち上げるといった形で進めていきたいと考えています。

そしてゆくゆくは、篠山の大きな広場で開催してより一層地域を盛り上げていくことが目標です。

こうした活動を通して、篠山に多くの人が集まって地域全体が元気になったら…これほど嬉しいことはないですね。

-その根底に、やはり「地域へ恩返しをしたい」という強い気持ちがあるからなのですね。豆畑さん、素晴らしいお話をいただきありがとうございました!

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取材・文:MAYU